何よりとても人懐こい猫でした。
当時何歳だったかわからないけど、まだ7、8年前のことだし、溌剌とした猫だったので、もしかしたら今も変わらず皆に愛されているかも。
巣鴨の大通り近くの路地裏にある家に住んでいた猫で、誰かに呼ばれると喜んで駆け寄っていってはお腹を見せてくれるような猫でした。珍しい毛色で白にうっすらピンクが入っていてとても綺麗で、ただ見方によっては茶色の汚れっぽくも見え、元お嬢さんの方々に「あら、汚れかしらー」なんて言われてることもありました。
先日、会いたくなって探しに行ったけど見つからなかった。訪ねる時間帯を変えてもいなかった。
近所の方に聞いた方が確実かと思い、意を決して聞いてみました。
猫の行方を気にすることはやっぱり物珍しいようで、微妙な空気が流れましたが勇気を振り絞り「何年か前、この路地裏にいた白い猫がいたのですけど、今もいるかどうか知りませんか?」と尋ねてみました。
その細い通りに面した焼き鳥屋さんがあって、ただ聞くのもはばかられたので焼き鳥を3本だけ買って、受け取るときにそう伺ってみたのです。
ちょっと困らせてしまいましたが、見かけたことは無いそうです。店員さん、もしかしたら猫が嫌いでは無いのかも知れなくて、「キジトラならいるんです。。。」と教えてくれました。
その路地は袋小路になっているので一周してみましたが、猫は姿を現さず。
以前は自分の足音が聞こえただけでどこからともなく駆け寄ってくれました。足音を忘れてしまっていても一目会いたいという思いでいっぱいでした。
あきらめつかず、不審者上等でその後も何度か通ってみましたが、とうとうまさに命の恩人?である猫は見つかりません。どうやら引っ越されたご様子…。
このねこに出会った場所は自分が一時期住んでいた巣鴨のゲストハウスでした。
そこにいる時、ペット可物件に引っ越すと共に、もしこのねこが可愛がられていないのなら一緒に連れて行けないかな、と思ったことがありました。部屋を引き払う際には、飼い主さんにおもいを伝えに行こうと考えていました。
しかし、とある日飼い主さんと思われるスーツを着た男性がその猫に駆け寄り、帰宅時と思われるその男性は猫の毛がつくことなど躊躇せず優しく声をかけて抱き上げました。
そしてねこを肩に乗せて家に入っていく姿を見ながら、嬉しくなるのと同時にちゃんとしたご家族がいる猫を引き取ろうとする理由がなくなり寂しくなったことを覚えています。
なんどもその猫を探しにいった理由は、もし飼い主さんやそのご家族に会えたなら、その猫の名前を聞きたかったのです。
少し色あせてはいるけど白い毛並みにところどころピンク色が入ったような毛並みによく似合っていた赤い首輪をつけた猫はよそ様の飼い猫だったため、自分の中での呼び名も決めないようにしていました。
君のニャは?
某映画の後、目にした言葉ですが語呂が良いので書いてみました…。
どこかで元気であれば良いな、名前で呼んで見たかったなあと今でも思います。世の中後悔することだらけです。
巣鴨のねこさん、僕を救ってくれてありがとう。